사용자:Drhyme/외래어 가나 표기법/한국어/한국어의 음운

이 문서에서는 한국어의 말소리를 음성학음운론의 관점에서 기술한다. 주로 대한민국 표준어의 말소리에 관해 기술하고, 필요에 따라 문화어의 말소리에 관해서 보충 설명한다.

한국어의 표준어 발음은 남북 다 성문화된 규범에 의해 규정되어 있다. 그 의미에서 표준어 발음은 모범이 될 ‘이상적 발음’이라 할 수 있다. 그렇지만 실질적으로 남의 표준어 발음은 서울의 발음에 의거하며 북의 표준어 발음은 평양의 발음에 의거한다.


음소

편집

모음

편집

단모음

편집
홀소리v  d  e  h
전설 근전설 중설 근후설 후설
고모음
 
 i • y 
 ɨ • ʉ 
 ɯ • u 
 ɪ • ʏ 
 ɪ̈ • ʊ̈ 
 ʊ 
 e • ø 
 ɘ • ɵ 
 ɤ • o 
  • ø̞ 
 ə 
 ɤ̞ •  
 ɛ • œ 
 ɜ • ɞ 
 ʌ • ɔ 
 æ 
 ɐ 
 a • ɶ 
 ä 
 ɑ • ɒ 
근고모음
중고모음
중모음
중저모음
근저모음
저모음
쌍으로 있는 기호는 왼쪽이 비원순, 오른쪽이 원순 모음이다.
이 표는 일부 브라우저에서 정확히 표시되지 않을 수도 있는 음성학적 기호를 포함하고 있다.

 
【그림1】조선어의 모음음소와 실제의 음성. 이호영(1996)에 기초를 둔다.

표준어에 있어서는 단모음의 음소는 이하의 10종류이다.

모음 대표적인 음성 예시
모음 음소 단어 음소 IPA
a 아이 ai
ɔ 어디 ɔdi
o 오이 oi
u 우리 uɾi
ɯ
i 이마 ima
ɛ
e 누에 nue
ö ø
ü y ü y
【주】음소표기(/ /로 표기)는 본 항목의 단독이기에 반드시 일반적이지는 않다.

각각의 음소에 대해서, 보다 엄밀하게는 아래대로이다.

  • /a/ 는 중설의 [ɐ]이다.
  • /ɔ/는 서울 방언에서는 입술의 원이 보다 약한 ɔ̜이며, 평양방언에서는 입술의 원이 보다 강한 ɔ이다.

한국에서는 거의 지역에 따라서, 노년층을 제외하고 ɛ(넒은 ‘에’)와 e(좁은 ‘에’)의 구별이 없으며, 모두 동일음으로 발음된다. 그 발음은 ɛe의 중간음으로, 일본어e(エ)에 가깝다(【그림1】의 ‘1’ 참조). 또, 서울 방언, 평양 방언 모두 ö, ü가 존재하지 않는다. 이들의 방언에서는 보통 öwe(평양 방언에서는 )로 나타내며, üwi로 나타낸다. 따라서, 오늘날의 비노년층에 있어서의 서울 방언에서는 단모음은 가장 작은 화자로 7종류(a, ɔ, o, u, ɯ, i, e)가 되고 있다.

장모음

편집

장모음은 단어의 제1음절에만 나타낸다. 서울 방언의 경우, 노년층은 모음의 장단에 따라서 단어의 뜻을 구별할 수 있지만, 비노년층은 모음의 장단 구별이 없으며, 대체로 단모음으로 나타낸다.

  • 눈 [nun](신체 부위), [nuːn](날씨)

또한, 노년층의 서울 방언의 경우, ɔ의 장모음의 음소는 əː로 나타내며, 단모음의 경우와 다른 음소로 나타내는 것이 특징이다(【그림1】의 ‘2’ 참조).

  • 어른 [ɔːrɯn] / [əːɾɯn]

반모음과 이중모음

편집

한국어에는 y, jw 2개의 반모음이 있다. 연구자에 의해서는 반모음을 인정받지 못하고, 반모음과 단모음의 결합을 이중모음으로 보는 경우도 있다.

단모음 a
ɔ
o
u
ɯ
i
ɛ
e
ö
ü
y+모음 ya

yo
yu

ye
w+모음 wa

(wi)
(ㅟ)

we

ɯi라는 음의 연결은 ‘반모음+단모음’으로 보지 않고, 이중모음으로 보는 견해가 일반적이다. 그렇지만, ɯi는 서울 방언에서는 단모음화해서 ɯ(어두에서) 혹은 i(어두가 아닌 곳에서)로 나타나는 경우가 많다.

  • 의사 [ɯisa] ― [ɯsa](서울방언)
  • 예의 yeɯi ― 서울 방언 yei

자음

편집

標準語における子音音素は全部で19種類ある。

초성

편집

音節頭の位置にある子音を初声と呼ぶ。19種類の子音全てが初声の位置に来ることができる。

両唇音 歯茎音 硬口蓋音 軟口蓋音 声門音
閉鎖音 摩擦音


平音 b
p/b
d
t/d
s
s~ɕ
j
ʨ/ʥ
g
k/ɡ
激音 p
t
c
ʨʰ
k
h
h/ɦ
濃音 β
δ
σ
sʼ~ɕʼ
ζ
ʨʼ
γ
비음 m
m
n
n
ŋ
ŋ
유음 r
ɾ~l

朝鮮語の阻害音無声音/有声音の対立が音韻論的意味を持たない。すなわち朝鮮語話者は無声音/有声音の区別がなく、ともに同一の音と認識する(それゆえに、例えば、日本語の「きんかくじ」と「ぎんかくじ」は朝鮮語話者にとっては同一の単語に聞こえ、その区別が極めて困難である)。その一方で、朝鮮語には平音/激音/濃音という対立がある。これらの音は呼気の強さや喉の緊張の度合いによって相互に異なる音と認識される。

平音は気音を伴わず、また喉の緊張も伴わない音である。s を除く平音 b,d,j,g は有声音間(すなわち母音―母音間、鼻音―母音間、流音―母音間のいずれか)で有声無気音、それ以外の環境(具体的には語頭)で無声無気音(話者によっては弱い気音を伴いうる)として現れる。

  • binu 비누 pinu (石けん) ― nabi 나비 nabi (ちょうちょ)

s は有声音間にあっても常に無声音として現れる。또, s は母音 iy を含む)の直前では ɕ (일본어의 シャ행 자음과 같다)で現れる。なお、s は一般的に平音に分類されるが、これを激音(下述)に分類する研究者もある。

  • gasu 가수 kasu (歌手)
  • gasi 가시 kaɕi (とげ)

激音 p,t,c,k は強い気音を伴った音であり、いかなる位置においても무성有気音として現れる。中国語における有気音と同じ性質の音である。

  • dotori 도토리 totʰoɾi (どんぐり)

激音 h は有声音間にある場合には有声音化し ɦ と現れ、場合によっては無音のように聞こえることもある。有声音化するという特性から、これを平音に分類する研究者もある。

  • jiha 지하 ʨiɦa (地下)

濃音は喉頭の緊張を伴った무성無気音である。国際音声記号ではこの音を表示する記号がなく、声門閉鎖音を表す ʔ を子音記号の左肩に附したり、放出音を表す ʼ を用いたりといった形で記号を代用する場合が多い。また、音声学の論文等では p#p* などの表記も散見される。

  • γori 꼬리 kʼoɾi (しっぽ)

濃音 σ は平音 s の場合と同様に、母音 iy を含む)の直前で ɕʼ で現れる。

  • gimσi 김씨 kimɕʼi (金氏)

비음m,n,ŋ 3種類があるが、ŋ は語頭に立たない。

유음 r は音節頭の位置では通常はじき音 ɾ で現れるが、音節末音 r の直後に現れる音節頭の /r/ は l として現れる。

  • murri 물리 mulli (物理)

平壌方言では j,c,ζ が歯茎硬口蓋音 ʨ/ʥʨʰʨʼ ではなく歯茎破擦音 ʦ/ʣʦʰʦʼ で現れる。実際には日本語の cu (ツ) や中国語の z よりは調音点が後ろよりなので、日本人にはチャ行に聞こえることも多い。朝鮮語話者の大部分はこの2つの音声を弁別的にとらえないため、個人差が非常に大きい。

==== 종성 ====

음절 말의 위치에 있는 자음을 종성이라고 부른다. 초성에는 19種類の子音全てが立ちうるが、終声には以下の7種類の子音しか立たない。

両唇音 歯茎音 軟口蓋音
阻害音 b
d
g
비음 m
m
n
n
ŋ
ŋ
유음 r
ɭ

阻害音の終声は調音器官の開放を伴わない内破音である。ただし、d の直後に σ が来る場合には、終声 ds で現れる。

  • jɔdσo 젖소 ʨɔssʼo (乳牛)

유음의 종성 r 은 通常 ɭ で現れるが、直後に h が来るときは ɾ で現れる。 ɭ はヨーロッパ諸語や中国語の l より後部に調音点があり、舌先を反転させて後部歯茎に押し当てて側面から息を流すようにして発音する。

  • gwarho 괄호 kwaɾɦo (括弧)

음소배열 상의 제약

편집

조선어에서는 아래와 같은 음소배열 상의 제약이 있다.

(1)남한의 표준어에서는 歯茎硬口蓋音 j,c,ζ の直後に半母音 y が来えない。つづり字の上で半母音が表記されていても、実際の音声は半母音を伴っていない。

  • (私)
  • (負けて)

一方、北の標準語では j,c,ζ の直後に半母音 y が来うる。平壌方言で j,c,ζ は歯茎破擦音 ʦ/ʣʦʰʦʼ で現れるが、y と結合する場合には歯茎硬口蓋破擦音 ʨ/ʥʨʰʨʼ で現れうる。

  • ʦɔ (私)
  • jyɔ ʨɔ (負けて)

(2)南の標準語では、漢字語において r が語頭に立ちえない。音節頭に本来 r を持つ漢字音が語頭に立つ場合、r の直後に i あるいは y があるものは r が脱落し、それ以外のものは rn で発音される。同様にして、音節頭に本来 n を持つ漢字音が語頭に立つ場合、n の直後に i あるいは y があるものは n が脱落する。韓国ではこの現象を一般に「頭音法則(두음 법칙)」と呼ぶ。北の標準語では、語頭の r および n は本来のまま維持される。

単語 原音(北の標準語) 南の標準語
臨時 rimsi림시 imsi임시
勞動 rodoŋ로동 nodoŋ노동
女子 nyɔja녀자 yɔja여자

しかしながら、外来語の発音にせよ北における漢字語の発音にせよ、語頭の r はもともと朝鮮語にはなかったものである。それゆえ、特に老年層においては外来語や漢字語の語頭の r をしばしば脱落させたり n で発音する。

  • 라이터 naitɔː (ライター)

ピッチ

편집

日本語の場合、例えば「雨」(高・低)と「飴」(低・高)のように、ピッチ(音の高低)の違いによって単語の意味を区別しうるが、朝鮮語の標準語はピッチによって単語の意味を区別することがない。しかしながら、朝鮮語の発話においてピッチは無秩序に現れるのではなく、自然な音の高低の流れが存在し、そのパターンから外れる発話は朝鮮語話者にとって不自然な発話に感じられる。

ソウル方言の場合、連続して発音される単位において、第2音節が最も高く発音され、それ以降の音節は徐々に降り調子で発音される。第1音節は初声が激音、濃音あるいは s の場合は第2音節と同程度の高さで発音され、それ以外の子音の場合あるいは母音で始まる場合には第2音節よりやや低く発音される。

なお、東南方言と東北方言には高低アクセントの体系があり、ピッチによって単語の意味を区別しうる。

音節構造

편집

朝鮮語の音節は母音を中核として形作られる。母音は半母音と単母音の結合(上昇二重母音)でありえ、母音の前には音節頭子音(初声)が1つ立つことができる。朝鮮語の音節は母音で終わる音節(開音節)以外に子音で終わる音節(閉音節)がありえ、母音の後ろには音節末子音(終声)が1つ立つことができる。従って、朝鮮語の音節構造で最も複雑なものは「子音+半母音+母音+子音」という構造である。

音節の構造


母音 i i (歯)
半母音+母音 yo jo (敷布団)
子音+母音 so so (牛)
子音+半母音+母音 hyɔ hjɔ (舌)


母音+子音 an an (中)
半母音+母音+子音 waŋ waŋ (王)
子音+母音+子音 gir kil (道)
子音+半母音+母音+子音 gwaŋ kwaŋ (光沢)

音素の交替

편집

朝鮮語は音素交替の種類が多く、以下のような交替がある。

音韻論的な交替

편집

音韻論的な交替とは、音素が置かれる音的な環境により、当該の音素が別の音素に入れ替わる現象をいう。朝鮮語では子音についてこの現象が見られる。子音音素は配列上の制約があるため、音の並びによっては許されない子音配列がある。そのような場合、当該の子音音素は別の子音音素に交替する。


平音の濃音化

편집

平音 b,d,s,j,g は音節末の阻害音 b,d,g の直後に来えない。その場合、当該の平音はそれぞれ濃音 β,δ,σ,ζ,γ に交替する。

  • 입시 ibsiibσi (入試)
  • 국밥 gugbabgugβab (クッパ)

hの激音化

편집

h は音節末の阻害音 b,d,g の直後に来えない。その場合、当該の h は直前の阻害音と同じ調音位置で発音される激音(p,t,k のいずれか)に交替する。

  • 입학 ibhagibpag (入学)
  • 각하 gaghagagka (閣下)

阻害音の鼻音化

편집

音節末の阻害音 b,d,g鼻音 m,n および流音 r の直前に来えない。その場合、当該の音節末阻害音はそれぞれ鼻音 m,n,ŋ に交替する。

  • 욕망 yogmaŋyoŋmaŋ (欲望)
  • 앞날 abnaramnar (前途)

b,d,g の直後に r が来る場合、南の標準語では r も同時に鼻音化して n に交替する。北の標準語では rn に交替せず、r のまま維持される。

  • 독립 dogribdoŋnib (独立) cf. doŋrib 〔北の標準語〕

유음의 비음화

편집

南の標準語において、流音 r鼻音 m,ŋ の直後に来えない。その場合、当該の r は鼻音 n に交替する。北の標準語では r はそのまま維持される。

  • 통로 toŋrotoŋno (通路) cf. toŋro 〔北の標準語〕

n의 유음화

편집

n は流音 r の直前あるいは直後に来えない。その場合、当該の n は流音 r に交替する。なお、この場合に rr という音の連続の実際の音声は ll である。

  • 신라 sinrasirra (新羅)
  • 찰나 carnacarra (刹那)

形態音韻論的な交替

편집

同一の形態素が一定の音韻的環境によりいくつかの異形態として現れるときに、異形態間で音韻が交替することを形態音韻論的な交替という。朝鮮語にはそのような形態音韻論的交替が多い。

終声の形態音韻論的な交替

편집

体言および用言は語幹末音に子音を持つ場合、語幹末の子音は交替しうる。交替の類型は以下の2種類がありえる。

音の中和
편집

例えば、nopa (高く)は nop が語幹であるが、語幹末音の pnopa のように直後に母音が来て p が音節頭の位置にあるときは激音 p として現れるが、p の直後に子音が来るなどしてこの音が音節末の位置に来る場合には nobδa (高い)のように b に交替する。これは激音 p が音節末の位置に立つことができず、音節末の位置では bp の区別が失われて平音 b のみが現れる(中和)。

  • pb
    • 잎이 ipi (葉が) ~ ib (葉)
  • t,s,σ,j,cd
    • 밭에 bate (畑に) ~ bad (畑)
    • 옷이 osi (服が) ~ od (服)
    • 있어 iσɔ (いて) ~ 있자 idζa (いよう)
    • 낮에 naje (昼に) ~ nad (昼)
    • 빛이 bici (光が) ~ bid (光)
  • k,γg
    • 부엌에 buɔke (台所に) ~ 부엌 buɔg (台所)
    • 밖에 baγe (外に) ~ bag (外)
소리의 탈락
편집

barba (踏んで)は barb が語幹であるが、このように語幹末に子音が2つ連続している場合、語幹末の子音が barba のように初声の位置に立つときは連続する2つの子音が両方とも現れる。しかし、語幹末の子音が終声の位置に立つときは babδa (踏む)のように2つの子音のうち一方が脱落する。これは朝鮮語において音節末の位置に2つ以上の子音が同時に立ちえないためである。

  • b
    • 값이 gabσi (値が) ~ gab (値)
  • rbb
    • 밟아 barba (踏んで) ~ 밟자 baːbζa (踏もう)
  • rpb
    • 읊어 ɯrpɔ (詠んで) ~ 읊자 ɯbζa (詠もう)
  • rmm
    • 삶이 saːrmi (生活が) ~ saːm (生活)
  • njn
    • 앉아 anja (座って) ~ 앉자 anζa (座ろう)
  • rbr
    • 넓어 nɔrbɔ (広く) ~ 넓다 nɔrδa (広い)
  • rgr
    • 읽어 irgɔ (読んで) ~ 읽고 irγo (読み)
  • g
    • 넋이 nɔgσi (魂が) ~ nɔg (魂)
  • rgg
    • 읽어 irgɔ (読んで) ~ 읽자 igζa (読もう)

初声の形態音韻論的な交替

편집

上述の音韻論的な交替以外の条件で実現される濃音化、激音化、鼻音化はいずれも形態音韻論的な交替と見られる。これらの交替は形態素の境界において起こる。


濃音化
편집

子音語幹用言に平音で始まる接尾辞語尾が付く場合、語幹末子音が鼻音・流音の場合であっても直後の接尾辞・語尾の頭音である平音が濃音化する。

  • 삼고 saːmγo (見なして)
  • 핥고 harγo (なめて)

体言では、合成語において平音の濃音化が見られる。また、一部の漢字語においても平音の濃音化が見られる。

  • 말버릇 maːrβɔrɯd (口癖)
  • 보험증 boːhɔmζɯŋ (保険証)
激音化
편집

用言のうち、接尾辞・語尾の頭音の平音が激音で現れるものがある。このような用言は語幹末に h を持つと考える場合が多い。正書法上では、終声字に「」を含む場合()がこれに当たる。

  • 놓고 noko (置いて)
鼻音化
편집

漢字語において、終声 n の直後で 流音 rn で現れる場合がある。終声 n と初声 r の間に形態素の境界がある場合に rn に交替する。ただし、北の標準語の発音では、r はそのまま維持される。

  • 생산량 sɛŋsannjaŋ (生産量) ― 北の標準語 sɛŋsanrjaŋ
구개음화
편집

語幹末音に d を持つ語幹の直後に i あるいは hi で始まる接尾辞・語尾が付くとき、di あるいは hi が組み合わさり ji あるいは ci と現れる現象。正書法上では終声字「」の直後に「」が書かれて ji),ci) と発音される。

  • 미닫이 midaji (引き戸)
  • 같이 gaci (同じく)
  • 닫힌다 dacinda (閉じられる)
  • 핥인다 harcinda (なめられる)

音素交替と正書法

편집

朝鮮語の正書法では、同一の形態素は常に同一につづるという原則にのっとって定められている(形態主義)。従って、上記のようなさまざまな音素交替があっても発音の通りにつづらない。詳細は朝鮮語の正書法形態主義を参照のこと。

모음조화

편집

朝鮮語はかつてかなりはっきりした母音調和を有していた。中期朝鮮語では母音は陽母音 a,o,ʌ陰母音 ə,u,ɯ それに中性母音 i の3グループに区分され、原則的に同一単語内部では同一グループの母音のみが用いられた。ただし、中性母音は陽母音・陰母音いずれの母音とも同時に現れえた。

陽母音 a o ʌ
陰母音 ə u ɯ
中性母音 i
  • sasʌm (鹿)― 陽母音
  • ərgur (姿)― 陰母音

中期朝鮮語における母音調和は形態素内のみにとどまらずその形態素に付属する語尾類にまで及んだ。例えば「…は」の意の助詞は nʌnnɯn のように、陽母音形と陰母音形があり、語幹が陽母音から成るのか陰母音から成るのかによって使い分けられた。

  • nanʌn (我は)― 陽母音
  • nənɯn (汝は)― 陰母音

現代朝鮮語において母音調和はほとんど崩壊しており、いくつかの点において化石化してその痕跡を留めているに過ぎない。1つは用言の活用形における、aɔ(「第III語基」、「連用形」などと呼ばれる形)である。陽母音語幹は陽母音の a をとり、陰母音語幹は陰母音の ɔ をとる。しかしながら、話し言葉の場合、子音語幹用言においては陽母音語幹の後ろでも ɔ が現れる。

  • bada 받아 (もらって) cf. badɔ 받어 〔話し言葉〕
  • mɔgɔ 먹어 (食べて)

一部の用言は母音の陰陽の違いによるペアを持つ。

  • jaːgδa 작다 (小さい) ― jɔːgδa 적다 (少ない)

オノマトペをはじめとした音象徴語は現代朝鮮語において母音調和が最も残っている語彙である。陽母音を含む単語が「明、小、軽」などのニュアンスを含むのに対し、陰母音を含む単語は「暗、大、重」などのニュアンスを含むとされる。

  • hwarhwar 활활:鳥が軽やかに飛ぶ様子
  • hwɔrhwɔr 훨훨:大きな鳥がゆっくりと飛ぶ様子

ただし、中期朝鮮語と現代朝鮮語とでは母音体系が異なっているため、音象徴語に見られる母音調和のペアは中期朝鮮語のそれと同一ではない。以下は現代朝鮮語の音象徴語に見られる母音調和のペアである。

陽母音 a o ɛ
陰母音 ɔ ɯ u i
  • γorγag 꼴깍γurγɔg 꿀꺽 (ごくり)
  • σagσag 싹싹σɯgσɯg 쓱쓱 (ごしごし)
  • bɛŋbɛŋ 뱅뱅biŋbiŋ 빙빙 (ぐるぐる)

表音性

편집

틀:独自研究 ハングルは「音が生じる通りに読んで書くから」優秀な表記体系だと主張される場合があるが、これには少し無理がある。自由変異や音韻規則などの現象があるためで、例えば「」と「」はハングル創製初期には二重母音だったが、現在は短母音になった。母音」はもっと不規則で「」と「」を合した原発音外にも、場合によって[]、[]でも発音される。

ハングル綴字法と朝鮮語の標準語規定によれば、同じ「」パッチムでも「밭이」(畑は)ではtの音で[바치](パチ)と読むが、「홑이불」(一重の掛け布団)ではnの音で[혼니불](ホニプル)と読む。また「대가」を、「一分野にすぐれた人」(大家)という意味の時には[대ː가](テーガ)と発音するが、「仕事をして受ける報酬」、「ある事を成就するために要する努力」(代価)を意味する時は[대ː까](テーッカ)と発音し、「몇 대가」(何台が)では[때가](テガ)と発音したりする。また現代ハングル綴字法では母音の長短を別に表記しないから、文字表記だけでは発音の長短が分からない[1]

また、英語日本語の表記体系をハングルと比較することが度々行われる。例えば英語綴字法では「a」は「face」では、「preface」ではɪの音がするなど非常に不規則的だが、ハングルはそうではないという主張である。しかしこれはハングル綴字法が、1933年朝鮮語綴字法統一案の時に大きく改定され、またその後何度も改定されたが、英語は16世紀以後何世紀もの間に言語の発音が変わって来たものの、綴字法があまり改定されたことがないからである。何世紀もの間手入れしないで歴史的な綴字法を固守する綴字法が、比較的最近に、それも継続して修正されている綴字法より不規則で、実際の発音とよく合わないことは当然の事である。

英語とは違い、他の西ヨーロッパ語の大部分は(英語と同じくラテン文字に基盤した文字を使いながらも)音素的な表記に基盤があり、表記法が相当に規則的である。例えばフィンランド語の場合、発音と綴字法が規則的なので、綴字からそれなりに正確な発音が分かり、綴字が分からなくても発音だけ正確に分かれば綴字が分かるほどである。比較的複雑な綴字法を持ったフランス語さえも、書かれた綴字から正確な発音を類推することは比較的易しい。日本語の音節文字であるかなも、日本語の音素と相当に規則的な対応が可能である。

すなわち、文字の規則的な表音性は、文字自体の優劣よりも、綴字法により密接な関連があると言える。

また、ハングルを他の言語に適用しても、韓国人がそれをすぐに流暢に読めるわけではない。他の言語は朝鮮語と音韻体系が違うので、偶然に朝鮮語に似ている音韻構造を持っている場合でなければ、ハングルでその言語を表記してもハングル綴字法とは違う正書法の開発が必要である。

ハングルは、初声+中性+終声のCVC音節構造を持つ朝鮮語を基礎に、音節ごとに1つに集めて書く方式になっているため、分け書き(音節ごとに1つに集めずに、子音や母音をばらして並べる)をしない1つの子音群(英語の単語strikeのstrのような場合)や、この中で母音を表現することには非常に脆弱である。このような点を無視する場合、すべての子音に母音「」と音価がない語頭の「」を剰余的に表記することを甘受しなければならない。分け書きをする場合にも、母音文字と子音文字の空間造形性がお互いに違って単純配列する場合視覚的に相当な抵抗があるから、一部文字の変形が不可避である[2]。このような字形の変形をした場合、それは大多数の韓国人が慣れたハングルとは隔たった、ハングルを基礎にした新文字またはハングル派生文字になってしまう。


참고문헌

편집
  1. ソウル方言では発音の長短の違いはなくなりつつあるので、母音の長短の表記問題は大きな問題ではないとみる見解もある。
  2. 大部分の分け書きの中で母音の形が変形されて現われる。
  • 宇都木昭(2007)「音響音声学からの接近」,『韓国語教育論講座』第1巻,くろしお出版 ISBN 978-4-87424-374-9
  • 이현복(2002) “한국어 표준발음사전”,서울대학교출판부
  • 이호영(1996) “국어음성학”,태학사
  • 허웅(1985;1997) “국어 음운학”,샘 문화사